認知症でお悩みの方へ
認知症とは一体なに?加齢のせいだけとはいえないひどい物忘れや物事を考えたり判断したりすることが困難になり、日常生活に支障をきたすようになった状態を認知症といいます。加齢によるもの忘れではものごとの一部を忘れるだけですが、認知症ではものごとが起こったこと自体を忘れてしまいます。
認知症の割合は歳を重ねるとともに増加し、75歳以上で5人中1人が認知症になると言われています。そしてその原因の中で最も多くの割合を占めるのが「アルツハイマー型認知症」なのです。
年齢を重ねるうちに「最近、物忘れが増えてきたな」と思われる方が多いのではないでしょうか。
これは脳の神経細胞の減少という避けることのできない老化現象の影響で、誰にでもある「物忘れ」です。
「アルツハイマー型認知症」とは、脳の神経細胞が通常の老化よりも減ってしまうことで、脳が萎縮していく病気です。
初期段階では老化による「物忘れ」と「認知症」は区別がつきにくい病気です。
大きな違いの一つとして、老化による「物忘れ」では物事の一部を忘れるだけですが、「認知症」では物事が起こったこと自体を忘れてしまうという点があげられます。
また、「認知症」と診断するには症状が一過性のものではなく慢性的で進行性のものであるというとことが重要になります。
「中核症状」とは、覚える、判断するなどの役割を担っている脳の神経細胞が失われて、機能が障害されるために起こる「思い出せない」「理解・判断できない」といった症状です。
「行動・心理症状(BPSD)」とは、中核症状に伴ってイライラしたり、抑うつ、徘徊、暴力といった症状が現れることを言います。
認知症では病気の進行とともに神経細胞も失われていくため、中核症状はすべての人にみられ、病気とともに進行していきます。一方「行動・心理症状(BPSD)」は病気の進行と関係なく、すべての人にみられる症状ではありません。
「行動・心理症状(BPSD)」は、周囲を巻き込んださまざまなトラブルを引き起こすことが少なくなく、認知機能障害以上に本人だけでなく家族や介護者を悩ます問題症状ということができます。認知症の人の不安な気持ちや焦り、苛立ちなどを早い段階で受け止めた環境づくりや適切な対応により未然に防いだり改善できたりすることも少なくありません。
軽度 | 中等度 | 高度 | |
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記憶 |
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時間、場所 人物の認識 |
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会話 |
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日常生活 |
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気分 |
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アルツハイマー型認知症は疾患によって引き起こされる器質的障害です。医師の診断を受け、適切な治療を行うことが大切です。
アルツハイマー型認知症は、長い間治療法がないとされてきましたが、現在では進行を遅らせる薬が開発されています。
アルツハイマー型認知症の発症には、生活習慣病も関与するといわれています。生活習慣病のコントロールがアルツハイマー型認知症の発症の予防に繋がる可能性があります。
まずは認知症を正しく理解し、ご家族、介護者が心にゆとりをもって認知症の人と向き合うことの出来る環境づくりが大切なのです。