認知症には、治療によって治るものと根本的には治らないものがあります。治らない認知症においては、適切な治療で症状を緩和させることや症状の進行を遅らせることが可能です。
認知症の原因となる病気には、様々なものがあります。アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症以外にも、脳腫瘍やビタミン不足などによる身体の病気でおこることもあります。原因となる病気を適切に治療することで認知症の症状が治ったり症状を軽くすることができるものもなかにはあります。
治療によって治る認知症かどうかを早く見極め、適切な治療を行うことが大切となります。ちなみに、認知症の患者全体の約1割が治療可能な認知症といわれています。
手術で治療可能な認知症として上げられる代表的な疾患が下記です。これらが原因の認知症の場合は、早期に発見し適切な治療をすれば治りうる認知症ですので、早期の受診が極めて重要となります。
慢性硬膜下血腫 | 正常圧水頭症 |
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頭を打撲した後、脳を包む硬膜の下に出血がおき、脳が圧迫されて起こる病気。1ヶ月ぐらいしてから、頭痛、不全片麻痺、歩行障害、認知症などがみられる。 | 認知症、歩行障害、尿失禁を特徴とする。髄液圧は正常であるが髄液の吸収障害のため脳室が拡大する。 |
認知症の原因を早期に発見することで、たとえそれが現段階では治らない認知症であっても、本人やご家族・介護者の生活の質を高め、介護の負担を減らすことができます。また、早い段階で診断を受けられることで、認知症の方自身が、病気が進んだときに「どのように介護してもらいたいか?」や「財産をどのように処分したいか?」などの自分の意志をはっきり示しておくことができます。
認知症の初期は「困って大変」という時期ではないので、家族の方が専門家に相談して、認知症やサービスについての正しい知識を持ち、病気の経過を把握することができます。そして、将来においても、余裕のある対応につながり、新しい症状が出ても不安になることが少なくなります。